老後にかかるお金を計算してみよう
平成30年の総務省統計局の調査によると、
- 夫65歳以上
- 妻60歳以上
- 2人暮らし
の家庭が1か月に必要とする生活費は、23万5615円になります。
老後の月額平均の内訳は、
- 食費:6万5319円
- 住居:1万3625円
- 光熱・水道:1万9905円
- 家具・家事用品:9385円
- 被服:6171円
- 保険医療:1万5181円
- 交通・通信:2万8071円
- 教育:2円
- 教育娯楽:2万4239円
- その他:5万3717円
その一方で、1カ月の収入は、公的年金を中心に19万3743円となっています。
つまり、23万5615円ー19万3743円=4万1872円が足りない計算になります。
長寿化によって100歳まで生きるとなると、退職後30年生きると想定すると、
4万1872円×30年×12ヵ月で、およそ1507万円が不足する計算になるのです。
ただし、これは生活費のみで計算しています。
これ以外にも
- 自宅の老朽化によるリフォーム
- バリアフリーの改築
- 孫の教育費援助
- 夫婦の趣味や旅行
など、余暇の出費も考えられます。
これらのお金も年間30万円ほど見積もっておいた方がいいでしょう。
30万円×30年=900万円がさらに必要となります。
今後年金はどうなるのか?
まず、年金が破綻することはありません。
今の制度上、もらえる年金がゼロになることはありませんが、今後年金が減額されることは十分に考えられれます。
年金の財政が厳しくなれば、年金支給が減額されるので破綻してしまうことはありません。
先ほど、1カ月の収入は、公的年金を中心に20万9198円と発表されていましたが、今後減額される可能性は十分にあります。
公的年金だけに頼らずに、自分で年金を準備することが必要になります。
お金を増やす仕組みを作ったり
スキルを磨いて収入を増やしたり、副業することも大切です。
そして、検討したいのは積立投資をするときに、国が用意した制度を活用することで、より効率的に資産を増やすことができます。
国が用意した資産運用を活発化させる制度
日本はこのまま少子高齢化に進むことが確実なので、国は国民全員に手厚い社会保障をすることが難しくなっています。
そこで、資産運用を活性化させるために
- iDeCo(イデコ)
- NISA(ニーサ)
という2つの制度が導入されました。
iDeCoとは
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことで、老後のために年金を自分で積み立てる「じぶん年金」の制度です。
基本的には、20歳以上60歳未満の国民年金保険・厚生年金保険の加入者であれば誰でも加入できます。
積立は、毎月5000円から始められ、投資信託や定期預金、保険でも運用が可能です。
そして、
- 積立時
- 運用時
- 受取時
の3つの場面で節税効果があります。
積立時は、毎月の掛金全額がまるごと所得控除の対象になります。
その年の所得税と翌年の住民税の負担が軽減されます。
積立時の節税効果は、収入が多い人ほど高くなることも特徴の一つです。
運用時は、運用益が全額非課税になります。
また運用益だけでなく分配金や預金の利息にも税金がかかりません。
利益が大きくなればなるほど節税効果が大きくなります。
受取時にも税金の優遇があります。
iDeCoでは、積み立てたお金を受け取る際に、一括で受け取るか、年金形式で受け取るかを選ぶことができます。
一括で受け取る場合は、「退職所得控除」が適用され、1500万円まで非課税になります。
年金で受け取る場合は、「公的年金等控除」が適用され、公的年金と合算して年120万円が非課税になります。
iDeCoは非常にお得な制度ですが、老後資産をつくることを目的とした制度なので、原則60歳までは引き出せません。
なので、60歳まで引き出せなくても問題ない余剰資金で行うことが大切です。
NISAとは
NISAは、2014年にスタートした「少額投資非課税制度」です。
株や投資信託の運用益や配当金を非課税にするものです。
非課税投資枠の上限は、年間120万円、最大5年間となっています。
2018年には、「つみたてNISA」も開始されました。
こちらは、上限が年間40万円まで、最大20年間まで利用することができます。
つみたてNISAは、あらかじめ金融庁が厳選した商品が取り揃えられているので安心です。
また、どれも購入時に販売手数料がかからないノーロード商品です。
iDeCoは、毎月の最低積立額が5,000円なのに対して、つみたてNISAは証券会社によりますが100円から積立が可能です。
最初は少額でスタートして、投資に慣れてきたら増額することもできます。
iDeCoは原則60歳までは引き出せませんが、積み立てたお金はいつでも引き出すことができます。
老後資金だけではなく、マイホームや車の購入、子供の教育資金など、ライフイベントの支出のために活用することができます。
iDeCoとNISAの節税効果はとても大きく、老後資金をつくるために、これらを利用しない手はありません。