出典:http://www.treep.jp/kamakura/cate_temples/kyouonji.html
神奈川県の時宗教恩寺(中座山大聖院教恩寺)は、平清盛の五男である重衡に縁があると言われています。
重衡は、奈良の東大寺や興福寺を焼き尽くす南都焼討を行いました。
一ノ谷の合戦で重衡が捕らえられ、鎌倉へ連れられた際に源頼朝から一族の冥福を祈るよう、阿弥陀如来像を与えられたと伝えられています。
阿弥陀如来像は教恩寺の本尊で、仏師である運慶が作ったと言われています。
重衡が阿弥陀如来像に往生できるよう祈願した時、阿弥陀如来像は3回頷いたという言い伝えが残されています。
阿弥陀如来像は寄木造りとなっていて、両脇には観音菩薩と勢至菩薩が置かれていますが、一般公開はされていません。
札所本尊は、聖観世音菩薩です。
光明寺末の善昌寺が廃止されたことにより、1678年に貴誉上人によって光明寺の境内にあった北条氏康(相模の戦国大名)が建立したと言われる教恩寺が、跡地である現在の地に移築されたと伝えられています。
そのため、北条氏康が開祖とされています。
それ以降、浄土宗から時宗に改められたと考えられ、鎌倉七時宗の一つとなっています。
鎌倉三十三観音霊場の第12番札所となっています。
1938頃に、宋や明の時代に使用されていた銅銭が入っている壺が境内から出土したため、当時の貨幣経済を研究するための貴重な資料となっています。
教恩寺の寺宝の中に、黒の漆塗りに梅の蒔絵が描かれた杯があり、重衡と源頼朝の官女である千手前が酒をこの杯で酌み交わしたと言われています。
千手前は頼朝の官女から北条政子の侍女になったと伝えられています。
重衡は平家滅亡の際、京都の木津川で斬首になったと言われています。
重衡と千手前の出逢いは、平家物語に記されています。
教恩寺の山門の欄間には、お釈迦様の弟子の中でも、特に優れている16人の弟子、十六羅漢の彫り物があります。
山門に覆い被さるようにタブの古木があり、春には桜や境内に咲く花を楽しむことができます。
この山門をくぐると正面に龍の彫り物が施された本堂が見えます。
本堂には、中座山の額が掲げられています。
開山は知阿上人と言われています。
御朱印をもらう場合、御堂の脇にある納経所を訪れます。
教恩寺は余り目だ立たず、狭い路地を入ったところにありますが路地の入り口がわかりづらいため、訪れる際は事前に地図などで道順を確認しておくことをお勧めします。
教恩寺周辺のおすすめグルメ
かまくら百苑(ももぞの)は、昭和47年に創業された老舗うどんの専門店です。
鎌倉では初のうどん専門店として有名です。
うどんや天ぷらがメインとなる店舗です。
朝6時から手打ちで作られ、量はその日の分だけとなります。
鰹節と昆布が効いたダシが一層味の良さを引き立てます。
冷や麦やきしめんもあり、麺が好きな人にはお勧めです。
米町マフィンズは落ち着いた店内で、甘さ控えめのマフィンを珈琲や紅茶で楽しむことができるカフェです。
マフィンの種類は豊富な品揃えで、質感もふわふわのマフィンや重量感のあるものまで様々です。
あれもこれもと選びたくなるため、また訪れたくなる楽しみがあります。
テイクアウトもできるため、ちょっとした手土産となります。
少し温めるとより美味しく味わうことができます。
教恩寺周辺のおすすめ宿泊施設
かいひん荘鎌倉
入り口の松の木が見事なこの旅館は、鎌倉で唯一の純和風割烹旅館となります。
大正13年に造られた洋館部は、国登録有形文化財・鎌倉市重要景観建築物に指定されています。
見た目も品のある鮮やかさに魅了される料理は、味もまた格別です。
大浴場からは美しい庭園が見渡すことができ、ゆっくりと疲れを取ることができます。
情緒ある落ち着いたラウンジがあり、館内を観て楽しむこともできます。
鎌倉プリンスホテル
相模湾や江の島、晴れの日は富士山を見ることができる客室など、全95室のホテルです。
きよやす邸では、蕎麦・和食・鉄板焼きなどを味わうことができます。
緑の景色やレンガ造り風の店内となっているラウンジもあり、くつろぐことができます。
夏であれば、屋外のプールを楽しむこともできます。
売店では、鎌倉名産品などが取り揃っています。
對僊閣(たいせんかく)
多くの歌人や文人も宿泊した和風旅館で、震災により倒壊したことがありますが1927年頃に再建されました。
戦前のままの情緒を残し、至るところに深みを感じます。
入浴の際は、薪で沸かした湯に浸かることもでき、風情が漂います。
朝食は御当地名物が用意されます。
趣や風情を味わいたいという人にお勧めの旅館です。
教恩寺まとめ
源平の歴史的背景を残す教恩寺は、小さいながらも風格が漂います。
平重衡が負けて連れて来られたとはいえ、その時の立派な姿勢に源頼朝が感心したという始まりや、千手前との間柄、やがては離ればなれになる哀話などを思い浮かべながら歩くと、より印象的なものとなります。
自然の山々でなく、街に囲まれるという珍しい寺ですので、重宝されるでしょう。