出典：By 663highland – https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5697179
天台宗道成寺は和歌山県の天音山にあります。
道成寺の正面にある石段は、上りやすく下りやすい、と言われますが数えて62段もあります。
ある鉄道のエンジニアが駅の階段に利用できる設計を考え、測量に訪れたと言われます。
これは、目の錯覚を利用した遠近法によるもので、石段の下から上まで、左右にある土手が逆ハの字に開いているため、距離が近く感じるのです。
そのため、エンジニアが測量を行っても理由が解らなかったそうです。
石工によるおもてなしの心が反映された石段です。
石段・参道・仁王門の開口部・本堂とその中央に祀られている千手観音の配置が、一直線となっています。
高さのある位置から、千手観音は約1300年程の間、直線上を見守り続けたと言われています。
三重塔は、基壇の下には奈良時代のものが残っていると推定されています。
江戸時代に三重塔が再建される際、心柱に使える木材が見つけられなかったと言われます。
当時の住職は覚悟を決めて妙見神社を訪れ、神社を守る人に、道成寺の三重塔の再建のために御神木を切らせてほしいと懇願しました。
その願いは届き、三重塔が再建され、御神木を懐に抱く塔となりました。
昭和50年代、道成寺の境内は法隆寺の左右を逆にした伽藍配置であると解りました。
法隆寺にある鐘楼の位置を左右逆にし、道成寺と照らし合わせると、初代鐘楼の場所が推定できます。
そこに入相桜（いりあいざくら）の植え込みが見つけられました。
江戸時代の紀伊国名所図絵もこの桜が記されています。
入相桜はやがて和歌山県の天然記念物に指定されましたが、大正時代に台風のために幹が折れたことにより、指定は解除されました。
本堂の北側に一体の千手観音が祀られ、33年に1度、春33日間だけ御開帳が行われます。
御開帳は2005年に行われ、次は2038年になります。
人は、大切な人と離ればなれになることがありますが、心の絆が消えるわけではありません。
秘仏とされる千手観音は、会えなくとも強く導いて下さる仏様です。
顔を見ることができなくても、心の寂しさを理解し、心の絆を深めて下さる仏様です。
御開帳に大切な人と参ると、次の御開帳も一緒にお参りできると言われますが、物理的な意味ではありません。
自分がこの世にいなくても、自分が秘仏と同じように内側から大切な人を見守るという意味と考えられます。
道成寺周辺のおすすめグルメ
お食事処たまきでは、定食など家庭的な料理を用意しています。
小さな豆腐や漬け物、デザートなど、一つの定食に様々な心遣いが見られます。
女性には和（なごみ）定食が人気があり、プレートに多彩な料理が添えられています。
魚のフライやグラタン、アイスクリームまで付いているので、お腹を空かせて訪れることをお勧めします。
あんちんでは、紀州の味を堪能できる新鮮の素材を活かした紀の国御膳や、新鮮な魚介類と山の幸を盛り込んだ会席膳、鍋物・蒸物・焼物など郷土料理である安珍御膳、旬の素材を盛り込んだふるさと御膳など、メニューが揃います。
寒い季節はクエ鍋がお勧めです。
道成寺周辺のおすすめ宿・ホテル
お宿喜作
日高川の川沿いにあるお宿喜作では料理が自慢です。
魚介類を使った料理が多いだけでなく、熊野牛にも料理人のこだわりがあります。
素材だけでなく、創作的で快く味わうことができます。
温泉は天然温泉で、1日の疲れを体の芯から癒やすことができ、ゆったりとした時間を過ごせます。
内風呂と露天風呂があります。
夏は川遊びもできるという特徴があり、和やかな雰囲気が漂います。
栖原温泉
紀州の隠れ湯とされる栖原温泉は、全5室という小さな宿です。
自家農園による栽培で採れた食材を使った料理を提供されます。
刺し身と3種類の醤油、クエ鍋が好評です。
部屋は綺麗で広々としているので、ゆっくりと過ごすことができます。
夏は花火大会のある日であれば、部屋の窓から大きな花火を観ることもできます。
橘家
創業、明治36年の老舗料理旅館です。
和歌山県より、平成21年に百年企業として表彰された宿です。
地元で採れたての食材を使った四季折々の料理を堪能することができます。
全14室とも和室で、くつろぎながら料理を楽しむことができます。
お子様ランチもあります。
かなり早めに到着しても、飲み物を用意して歓迎されるなど、入った瞬間に心が和みます。
綺麗で、清潔感にも満足します。
若女将やスタッフのおもてなしに心温まる宿です。
道成寺まとめ
道成寺には見どころが多くあります。
遠近法を利用した階段、境内を見守る千手観音、御神木に支えられた三重塔など、他にも見どころがあり、楽しみながら巡りたい人にお勧めです。
御開帳に行けなくても、かけがえのない人を思う気持ちは大切です。
温かい気持ちになれれば幸いです。
海の幸に恵まれた場所であるため、普段は食べる機会が少ない新鮮な素材を使った料理で心身が満たされることも貴重です。
出逢う人への感謝の気持ちも自然に芽生えます。
