奈良県にある吉野山は桜の名所として全国的に名前が知られています。
下の千本、中の千本、上の千本、奥の千本と言われるほど多くの桜が山の下から奥にかけて順次ピンク色に染め上げ、その素晴らしさから多くの見物者が訪れます。
この桜で有名な吉野山の中の千本地区に、修験道で有名な金峯山寺があります。
金峯山寺と言われても、ピンと来ない人が居られるかも知れませんが、あの堂々とした蔵王堂のあるお寺と言えば解るでしょう。
金峯山と言うのは、吉野山から大峯山山上ケ岳にかけての一帯をかつてこう呼んでいたもので、この地に役行者が7世紀後半に開いた寺院が、金峰山寺と名付けられたのです。
この金峯山寺は、世界遺産である「紀伊山地の霊場と参詣道(通称:熊野古道)」の構成要素であり、世界文化遺産です。
金峯山寺と言えば、何と言っても巨大な蔵王堂が有名です。
蔵王堂は、金峯山寺の本堂であり、堂内には秘仏本尊の7m近くの高さがある蔵王権現三体の他、多くの仏像が安置されています。
この蔵王堂は国宝に指定されており、重層入母屋造りの桧皮葺きで、高さ34m、四方36mのまさに堂々としたお堂です。
その堂々とした威容の中にも、重層入母屋造りの桧皮葺きであることが優雅さを醸し出しており、非常に優れた歴史的建造物です。
しかし、この蔵王堂は創建当時のものではなく、平安時代以降に何度も焼失と再建が繰り返され、現在の蔵王堂は1592年に再建完成した建物です。
また堂内の秘仏本尊は、青色に染め上げられ大きく目を見開いた圧倒されるようなお姿です。
御開帳が時々行われるので、一度はその時期に訪れて、ご本尊を拝観されると良いでしょう。
この金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山ですが、そもそも修験道というのは日本古来の山岳信仰に、神道や外来思想の仏教などが混合して成立した、日本独特の宗教と位置づけられています。
その中心は深山幽谷に分け入って、命がけの修行をして霊力を得ようとする道だと言われています。
金峯山寺には蔵王堂に向かって左側の石段を下った所に、金峯山寺の塔頭の1つである脳天大神龍王院があり、こちらも一見の価値があります。
最後に、この金峯山寺の行事としては花供会式、節分会、蓮華会が三大行事と言われていますが、その中で蓮華会はユーモラスな蛙飛び行事として知られており、関西では毎年ニュースで取り上げられるほどです。
吉野山には、今回紹介した金峯山寺以外の多数の神社仏閣があり、ゆっくりと歴史を感じながら散策されるのがお勧めです。
金峯山寺のある中の千本地区では吉水神社、東南院、谷を挟んで如意輪寺などがあります。
金峯山寺周辺のおすすめグルメ
金峯山寺を訪れて昼食を摂られる場合、吉野山の峰を上るよう延びる細い道の両側に点在する多くの飲食店から、お気に入りの所を選んで利用されると良いでしょう。
中の千本地区で上の千本地区に向かって上る道の左側は、谷に突き出す様に民家やお店が建てられており、こちら側のお店に入れば、座敷の奥から、谷とその先の景色を眺めながら食事を摂る事ができ、お勧めです。
食事メニューとしては一般的な大衆食堂のメニューを取り揃えている所が普通ですが、名物の柿の葉寿司は、ぜひ味わってほしいグルメと言えます。
また、夏には山の上で意外と思われるかも知れませんが、麓を流れる吉野川(和歌山に入れば紀ノ川と名前を変えます)の鮎の塩焼きを提供する店も多く、こちらも季節の名物としてお勧めです。
金峯山寺周辺のおすすめ宿・ホテル
吉野山を金峯山寺の中の千本地区のみならず、上の千本の神社仏閣や奥千本の西行庵まで散策されるなら、吉野山で宿泊する必要があります。
吉野山には修験道の方が泊まられる宿坊もあれば、温泉宿もあり、また食事処を兼ねた民宿風の宿など色々な宿泊施設があります。
そんな中で、女性をはじめ、どなたにも向いている宿泊施設としては、下の千本、中の千本地区では「きす屋」、「さこや」「元湯 宝の家」と言った宿が挙げられます。
「きす屋」は老舗旅館を現在の新しい感性で蘇らせ、伝統を受け継ぐ宿で女性向けと言えるかも知れません。
「さこや」は、かつて本居宣長、頼山陽など、多くの文人墨客に愛されてきた老舗旅館で、そうした歴史風情を味わうのも良いものでしょう。
また「元湯 宝の家」は親しみ易い宿で、自慢の露天風呂からの吉野山の絶景を一望できるのが売りです。
金峯山寺まとめ
吉野山は昔から桜の名所として有名な所ですが、金峯山寺をはじめ多くの神社仏閣があり、様々な歴史も刻まれた所で、お寺好きや歴史好きの方には、違った味わいのある観光地です。
桜の季節には、観光客が多すぎて、じっくりと散策を楽しむ事が出来ないので、初夏の緑の季節や秋の紅葉の季節に訪れられるのが良いかも知れません。
吉野山には、役行者ゆかりの修験寺や、後醍醐天皇ゆかりの南朝史跡や、西行を偲ぶスポットなどがあり、事前にこうしたテーマ別の知識を得て吉野を散策されれば、さらに感慨深い旅となるでしょう。
奈良市内の寺院とはまた違った趣を感じる事の出来る吉野山、金峯山寺を訪れられる事をお勧めします。