滋賀の延暦寺は最澄が開いた日本仏教の母山

滋賀県天台宗延暦寺

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延暦寺は歴史の授業にも出て来る伝教大師最澄によって788年(延暦7年)に、現在の根本中堂に当たる一乗止静院に薬師如来を本尊として創建したのが始まりとされています。

延暦寺は、日本の国を鎮め護る寺として朝廷からの期待を得て、桓武天皇時代の年号である「延暦」を寺号に賜り、名付けられた寺院です。

 

延暦寺の歴史とし特筆すべきは、比叡山で12年間の修行・教育を施す制度を設けた事で、鎌倉時代以降に、浄土宗の法然上人、浄土真宗の親鸞聖人や臨済宗の栄西禅師、曹洞宗の道元禅師、法華経信仰の日蓮聖人など、現在の日本仏教各宗派の開祖を排出した寺院であると言う点が挙げられます。

こうした事から、比叡山は日本仏教の母山として仰がれ続けています。

 

また比叡山延暦寺に纏わる歴史としては、延暦寺が浅井・朝倉軍をかくまった事を引き金に、最盛期には三千にも及ぶ寺院・塔頭が甍を並べていたと伝えられている比叡山の全山を織田信長が焼き討つした事も有名で、当時の堂塔伽藍はすべて灰燼に帰しました。

その後、豊臣秀吉、徳川家康の庇護を受け再興されました。

 

こうした日本の歴史にも大きく影響をもたらした比叡山延暦寺は、世界文化遺産の「古都京都の文化財」の構成要素の1つでもあり、多くの国宝を有する寺院でもあります。

この延暦寺は、京都市と滋賀県の大津市の境に位置し、寺院の住所は大津市坂本本町で、実際は滋賀県の寺院です。

 

延暦寺はある点では観光化されていますが、しかし現在でも過酷な修行される僧侶が居られる修行道場でもあり続けているのです。

この過酷な修行は、年に100日から200日を7年掛けて、合計千日間、比叡山の山内を走って巡拝する回峰行で、途中には堂入りという荒行も行うもので、千日間を満行すれば北嶺大行満大阿闍梨と呼ばれ、生き仏としてあがめられるのです。

 

延暦寺は比叡山の広大な山内の敷地に点在する150余の堂塔の総称で、横川地域、東塔地域、西塔地域の3つのエリアに大きく区分されています。

横川地域は第3世天台座主の慈覚大師円仁によって開かれ、遣唐使船をモデルとした舞台造りの横川中堂を本堂とする堂塔が立ち並ぶ地域です。

ここから、4km南に西塔地域があり、さらに1km南に東塔地域があり、その間はシャトルバスが運行されているほど、広大な敷地を有する寺院なのです。

 

西塔地域は第2世天台座主寂光大師円澄によって開かれ、本堂は釈迦堂です。

この西塔地域に伝教大師最澄上人の御廟所である浄土院もあります。

 

東塔地域は延暦寺発祥の地であり、延暦寺の総本堂にあたる根本中堂を中心とする地域です。

根本中堂は国宝であり、このお堂内の本尊の前には、千二百年間灯り続けている有名な「不滅の法灯」も安置されています。

 

この様に延暦寺は壮大な寺院で、じっくりと1日かけて巡る価値のある寺院です。

比叡山は西に京都市内が、東に琵琶湖を望む事が出来る絶景の地であり、ドライブウエーやケーブルカー等からこの絶景も楽しむ事が出来る素晴らしい立地にあるのが、延暦寺です。

特に坂本との間のケーブルカーからの煌めく琵琶湖の眺めは感嘆の声を思わず上げるほどです。

 

延暦寺周辺のおすすめグルメ

延暦寺で昼食を摂られるなら、根本中堂の側にある宿坊でもある「延暦寺会館」で絶景を眺めつつ、精進料理を味わうのがお勧めです。

ただし、完全予約制のため事前予約が必要な点に注意ください。

 

また比叡山の麓で、ケーブルで比叡山に登る起点の坂本は、穴太積みの石垣に囲まれた街で、延暦寺の門前町として栄えて来た非常に趣のある街です。

この坂本にある蕎麦の老舗の「本家鶴喜そば本店」もお勧めです。

老舗感満載の建物で、絶品の蕎麦を味わう事ができます。

 

延暦寺周辺のおすすめ宿・ホテル

比叡山延暦寺を訪れて宿泊されるなら、京都側に降りて京都のホテルや宿を利用する事もできますし、滋賀県の坂本に下り、浜大津駅や大津駅近くの宿泊施設を利用する事も可能です。

 

温泉好きなら、湖西の雄琴温泉の「おごと温泉 里湯昔話 雄山荘」、「おごと温泉 琵琶湖グランドホテル・京近江」、「おごと温泉 琵琶湖花街道」と言った観光ホテルに宿泊し、湖畔の風情を楽しむのも良いでしょう。

 

また先に昼食で紹介した宿坊の比叡山会館で宿泊し、早朝の延暦寺の凛とした雰囲気を味わう事もお勧めです。

また、比叡山の中腹には星のリゾートの傘下に入った「ロテルド比叡」があり、女性好みのラグジュアリーなひと時を過ごされるのも良いでしょう。

 

延暦寺まとめ

比叡山延暦寺は壮大な寺院で、弘法大師空海が開いた高野山金剛峰寺と並び、日本の仏教を発展させた双頭と言える寺院です。

冒頭に記したように歴史上も重要な役割を果たして来た寺院であり、お寺好きの方ならぜひ一度は訪れるべき寺院と言えます。

 

シャトルバスを利用しても、3つの地域をじっくりと拝観すれば、1日を要する広大さであり、京都を訪れた時に、ちょっと立ち寄ると言った感覚ではすべてを拝観する事は無理なので、注意が必要です。