宮城の瑞巌寺は絶景の松島に隣接する伊達氏の菩提寺

宮城瑞巌寺五大堂

歴史ロマンあふれる東北の名刹

霊気漂う杉並木の参道、塔婆や五輪塔が刻まれた洞窟群、水晶でできた仏舎利の容器が納められた宝物館、伊達政宗の建築美学を伝える国宝の庫裡。

お寺好きや歴史好きの人なら、誰もが思わず反応してしまうものばかりでしょう。

 

心を揺さぶるこうした光景が広がっているお寺こそ、宮城県にある臨済宗瑞巌寺です。

 

瑞巌寺の魅力は、平安時代から江戸時代までの日本史がぎゅっと凝縮されていることでしょう。

瑞巌寺の起源は、平安時代に建立された天台宗の延福寺にまで遡ります。

 

開祖は円仁で、東北地方における天台宗の拠点として、延福寺を建立したと伝えられています。

名前に「延」が入っているのは、円仁が延暦寺で天台座主の地位に就いていたからです。

 

建立以降、延福寺は奥州藤原氏の庇護や寄進を受けることで、400年に渡って栄華を極めました。

時の権力者からの信仰も篤く、鎌倉時代には、源頼朝の正室だった北条政子が仏舎利を寄進しています。

この仏舎利は水晶でできた容器に納められて、瑞巌寺の宝物館に展示されています。

 

繁栄を謳歌した延福寺ですが、禅宗が広まった鎌倉時代の趨勢を免れることはできませんでした。

宋から日本に戻った禅師の法身は、延福寺を臨済宗円福寺に変え、みずからこのお寺の開祖となったのです。

 

とはいえ、鎌倉時代以降は乱世が続いたため、円福寺は凋落の一途をたどることで廃墟になってしまったのです。

 

そんな円福寺を臨済宗瑞巌寺として再興したのが、仙台藩の藩主だった伊達政宗です。

1604年に工事が始まると、正宗は全国から建築や工芸の匠を100人以上も呼び寄せ、豪華絢爛な瑞巌寺を5年で完成させました。

 

青龍殿と呼ばれる瑞巌寺の宝物館には、県の文化財に指定された正宗の甲冑像が展示されています。

 

正宗の建築美学の一端は、庫裡に見て取ることができます。

一般的に、庫裡は修行僧が生活を送る場所だったため、質素な作りをしているのが特徴です。

 

でも、国宝に指定されている瑞巌寺の庫裡には、美しい傾斜角がついた3角屋根や唐草模様の彫刻など、空間美に対する正宗のセンスが感じられます。

その他、国宝の本堂、国指定重要文化財の御成門や中門など、瑞巌寺には貴重な文化財がたくさん点在しています。

 

瑞巌寺では、総門から本堂へと至る参道にも注目です。

高い杉の木が並ぶ参道には神聖な霊気が漂っているようで、神秘に包まれた空間になっています。

参道の右手には、岩を削ってできた洞窟群があり、中には無数の塔婆や五輪塔が彫られていて、ここが供養の場であったことを物語っています。

 

伊達家ゆかりのお寺で味わう懐石料理

瑞巌寺の南にある円通院は、伊達政宗の孫だった光宗のお墓があるお寺です。

風光明媚な庭園で名高い円通院ですが、境内には「雲外」という名前のお食事処があります。

 

季節ごとにメニューは変わるものの、月ごとに旬を迎える食材を使った懐石料理には、海の幸あり、山の幸ありと、ヘルシーなメニューがたくさん並んでいます。

とくに松島湾で獲れる魚は、身がプリプリでとても新鮮です。

仙台味噌や宮城県産のひとめぼれなどを食材に生かすなど、宮城ならではの味がたっぷりと堪能できるでしょう。

 

料理のおいしさもさることながら、庭園を眺めながら食事が楽しめるのも雲外の魅力。

ゆっくりと落ち着いて食事がしたい人には、ぴったりのシチュエーションです。

 

なお、雲外は予約制なので、必ず連絡を入れてから訪れるようにしましょう(電話番号:022-353-2626)。

 

松島湾の絶景とエステが楽しめるホテル

松島観光の要は瑞巌寺だけではありません。

瑞巌寺の東には、日本三景のひとつに数えられている松島が広がり、海を望めるホテルが数多く建っています。

その中で、女性のためのサービスにスポットを当てているホテルを2軒紹介しましょう。

 

松島センチュリーホテル

松島を見下ろすように建っているのが、「松島センチュリーホテル」です。

オーシャンビューの部屋からはもちろんですが、このホテルでは、温泉の露天風呂からも、雄大な松島を眺めることができます。

部屋にはベランダがあるので、松島の自然を肌で感じたい人におすすめのホテルと言えるでしょう。

 

そんな松島センチュリーホテルが女性に人気なのは、「雪月香」という名前のサロンで、アロマセラピーを受けることができるから。

フェイシャルトリートメントでは、専用のオーガニックコスメを使った本格的なエステが体験できます。

 

海風土

一方、同じ松島に面する「海風土」には、エステコースというプランが設定されています。

ホテルにはエステルーム「サヌール」があり、フェイス・ボディ・フットと、全身をケアするコースも整っています。

 

エステばかりでなく、部屋から眺める松島の美しさも海風土の見逃せないポイントです。

部屋によっては、木でできた温泉風呂がベランダに完備されているので、エステとは違った癒し効果が得られます。

 

海風土は、エステ・絶景・温泉風呂と、至れり尽くせりの旅がしたい人に最適のホテルです。

 

瑞巌寺で思う盛者必衰の歴史

瑞巌寺は東北のみならず、東日本を代表する臨済宗のお寺です。

とくに、国宝や国指定の重要文化財の数では、頭ひとつ抜きんでた存在と言えるでしょう。

 

見どころとなる伽藍は、参道の左右に点在しているので、拝観での移動も楽にできます。

 

瑞巌寺には、平安時代から江戸時代まで、奥州藤原氏、北条氏、伊達氏と、盛者必衰の歴史が詰め込まれています。

そんな日本の歴史に思いを馳せながら拝観すれば、瑞巌寺の魅力を存分に味わうことができるはずです。